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 「道」や「甘い生活」などの傑作を送り出したイタリアの巨匠、フェデリコ・フェリーニが映画監督になる前の時代から絶頂期、そして亡くなるまでを、若い頃から親交のあったエットーレ・スコラ監督が再現ドラマと過去の実写フィルムを交えて描いた、非常に興味深いドキュメンタリー・ドラマ。

 風刺雑誌の漫画家として活躍する頃は、編集会議の様子が当時のままの雰囲気で再現され、こんな時代があったのかと、びっくり仰天。「甘い生活」のあの有名な噴水シーンを撮影する前の様子が出てきたり(実際は許可が下りず、セットで撮影されたという説もある)、チネチッタ撮影所に置かれた棺などなど、よくぞこんなフィルムが残っていたと大感激する貴重なフッテージが次から次へと写しだされるので、瞬きをするのも惜しいほど。すべてを目に焼き付けておきたい!「青春群像」から「フェリーニのアマルコルド」など、代表的な作品の特徴ある場面も満載。

 今でこそアカデミー賞の授賞式もテレビ中継されているが、フェリーニの時代はその映像を見る事すら稀だったので、映画の場面以外のジュリエッタ・マシーナの姿を目の当たりにした時には興奮を覚えざるを得なかった。ただ、スーパーも入らないので、どれほどの人が気付くのかが気になった。そういったケースはほかにもまだまだあるに違いないのだが、宣伝スタッフによると、画面を勝手に手を加える事に対して、製作者側が非常に厳しく、邦題にしても、もう少しわかりやすいものにしたかったそうだが、許可が下りなかったという事だ。だからというわけではないが、予備知識無しに試写を見た僕は、恥ずかしながら、フェデリコがあのフェリーニ監督の事だとは、映画が始まるまで気付かなかった。とほほ。

 「Viva! イタリア vol.2」の一本として封切られるので、存在感が薄れてはいるが、ヨーロッパ映画ファンなら絶対に見逃せない一本だ。

                                                      宮内 鎮雄

フェデリコという不思議な存在 公式サイト
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