日本映画ペンクラブメンバーズチョイス


 今回のデビッド・クローネンバーグ監督、「難解」「不可解」「不気味」「気持ち悪るっ!」「痛そう!」という“クローネンバーグモチーフ”をすべて封印。
 (少し寂しい気もするのだが・・・)
 愛と友情、野心と挫折、欲望と嫉妬をじっくり見据えた演出で描いている。

 20世紀初頭、精神科医ユングは、フロイトが提唱する“談話療法”に刺激され女性患者ザビーナに治療法を実践した結果、彼女の抱えるトラウマの原因を突き止める。 
 しかし医師と患者の一線を越えてしまったふたりは、秘密の情事を重ねるようになり、フロイトとの友情にも亀裂を生じさせていく。
 ユングは魅惑的なザビーナと“危険なメソッド”に囚われ、予想もしない運命をたどっていく、史実に基づくドラマ。

 すっかり「クローネンバーグ組」のヴィゴ・モーテンセンはじめ 知的で豪華なキャストが競演している。
 特に ユング役のマイケル・ファスベンダーは、「SHAME シェイム」の主演、「ジェーン・エア」の準主役、「プロメテウス」のミステリアスなアンドロイド役と、話題作に立て続けに出演、まさに今が旬の大注目の成長株。
 この作品では、裕福で才能溢れるインテリ役で繊細な感情と難しい心理表現を披露しているが、今、謎や問題を抱えた男を演じさせたら白眉と思われる。

 この作品は20世紀初頭の実在した精神分析学の先駆者たちをドラマチックに描き出しているのだが、知識階級の普遍的な苦悩や欲望を描くという点では現代にも通じるドラマ。
 インテリの象徴「学者業界」の「大人の嫉妬と愛憎」・・・、どの業界も古今東西共通なのですね。

荒木久文

危険なメソッド公式サイト
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