日本映画ペンクラブ

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◆ 5月の例会報告


5月11日 「夢は牛のお医者さん」tcc試写室

2014年度日本映画ペンクラブ会員選出文化映画ベスト1になった「夢は牛のお医者さん」を会員多数の希望により特別に例会で上映。
新潟から時田美昭監督と、坂上明和プロデューサーがいらして下さった。
Q&Aは賞に関して、また映画作りのポイントなどの質問に対して監督はー

 賞を取ろうとして作った映画ではないのですが、いろいろ頂いてビックリしています。今日もここに伺う前に、厚生労働省「平成27年度児童福祉文化賞」を頂きましたが、オバアちゃんでも子供でもわかる様にナレーションやBGMは長いと飽きてしまうのでコンパクトにしました。文学的に高い表現ではなく絵本のような作品にしたいと思って作りました。
 ナレーションの横山由比さんはAKB48の中で最も頑張り屋さんで、まっすぐに夢を追った高橋知美さんと共通したものがあります。まさかやっていただけるとは思いませんでしたが、お願いしたら気持ちよく引き受けて下さいました。ナレーションはあえて感情を入れすぎない様にたんたんと語ってもらいました。
 昭和62年から26年間密着取材した中で、一番難しかったのは、大学受験のシーン。知美さんからは「大学に落ちたら放送しないでね」といわれていたんです。放送できるか出来ないかわからないので一人でカメラを持っていつ電報を持って来る郵便屋さんが来るか調べて構え、喜びの瞬間が撮れた訳です。当然のことながらリハなど一切出来る訳なく、どうなることか本当に自分のこと以上にドキドキしました。でも、のちに「受からないようなら受けてない」というコメントも撮れましたけど(笑い)。
 私はテレビの制作マンですが、テレビは放送される地域、範囲が決まっていますが映画は何処にでも持っていけます。元々は東日本大震災に逢ったみなさまに元気が出るものを届けたくて巡回上映したのがきっかけです。一人でも多くの方がこの映画を見てガンバローと思って下されば、なによりも嬉しい事です。

( 担当 国弘よう子 津島令子)




5月29日 「野火」 塚本晋也監督

 中山治美会員がボランティアで宣伝を手伝っている塚本晋也監督の新作「野火」の試写をTCCで行った。塚本監督が来場され、上映後のQ&Aにも答えられた。
「野火」は大岡昇平の自伝的小説が原作。映画「野火」(1959)は、市川崑監督が船越英二、ミッキー・カーチスの出演で撮り、傑作の評判が高かった。今回再度映画化したことについて上映前に塚本監督は、「市川崑監督作のリメークではなく、原作から感じたものを描きたかった。戦争から70年が過ぎ、今作るしかないと思った。多くの方に見てもらい、何らかの議論を巻き起こしたい」とあいさつした。この作品はベネチア国際映画祭で上映される。

太平洋戦争末期のフィリピン・レイテ島。米軍の圧倒的な戦力の前に、日本軍は敗残。飢えた兵隊は山中をさまよい、野垂れ死にしていく。田村一等兵は結核にかかり、病院に行くように言われるが、病院にも食料はなく、部隊に追い返される。部隊では病院に戻れと言われる。ついに行き場がなくなってしまった。

市川崑監督の作品は、モノクロだったが、今回はカラー。それだけにジャングルの緑、飛び散る血の赤、延々と続く日本兵の腐敗死体などが鮮烈だ。塚本監督が主人公の田村一等兵を演じたほか、リリー・フランキー、中村達也らが共演している。サルの肉と言って兵隊の肉を食うサバイバルが強烈だ。

バイオレンス・シーンが強烈な塚本監督に「最初の映像体験は何でしたか」と渡辺祥子代表幹事から質問があった。答えは「ガメラ」シリーズ。ガメラにそんな残酷シーンがあったとは。
塚本監督は10年ほど前に旧日本軍兵士にインタビューをして戦争のことを聞いたという。「そのころもう85歳とかになっていて、話を聞く機会もどんどんなくなっていました。映画を作るのにもぎりぎりの時期にきていると感じました」
ロケーションは、フィリピン、沖縄、群馬県で行った。多くのボランティアがエキストラで参加した。油断をすれば簡単に戦争の時代に戻りそうな風潮に、塚本監督はストップをかけたいと願い、それに賛同する人々が後押しした作品だと理解している。

(野島孝一)


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