日本映画ペンクラブ

事業内容 会員一覧 リンク集 お問合せ 会員ページ




◆ 「映画の未来を切り拓く何かに期待」 清藤秀人


 最年少16歳の男子高校生がクラスメートの撮影監督を伴い河原に住む少年を追いかけた無言劇「流れる」から、最高齢47歳の現役サラリーマンが仕事の傍ら中学生たちの夏の一日にフォーカスした「ひこうき雲」まで、史上2番目に多い21本の入選作がひしめいたPFFアワード2014。全21作品には、デジタルカメラの普及によって誰でも映画が撮れるこの時代を表すかのように、使い慣れたツールを最大限活用し、レンズの向こうに自分だけの世界を発見した監督たち各々の切実な思いが凝縮されていた。

 その代表が、グランプリに輝いた早川千絵監督の「ナイアガラ」ではないだろうか。突如、認知症の祖母と暮らすことになった18歳のヒロインが、祖母の介護士と一緒に街の音をマイクで拾い集めながら、何気ない日常の息づかいを実感する様子は、監督自身の映画体験そのものに違いないからだ。そんな中、僕たちが日本映画ペンクラブ賞に選んだのは、我妻和樹監督が震災前の南三陸に3年間通い詰め、失われゆく地域コミュニティの実態を追い続けたドキュメンタリー「波伝谷に生きる人びと」。監督が背負うハンディカメラが撮る側と撮られる側の垣根を簡単に取り払い、映像を超えて対話のツールとしても稼働し得た、今の映画作りを象徴する作品だ。奇しくも映画の完成直後、大震災によって地域文化が根こそぎ破壊されたことで、作品は震災後のどんなドキュメントよりも深い喪失感を見る者に植え付けることになったけれど、監督は彼が見て感じた波伝谷のその後も、しっかりと撮り溜めているとか。時間の経過と共に震災の記憶も変容していくであろう何時か、何処かで見られるはずの「波伝谷に生きる人びとのその後」にも、ペンクラブ賞が掲げる"映画の未来を切り拓く"何かを期待して止まない。



Copyright (C) 2011 日本映画ペンクラブ All Rights Reserved.