日本映画ペンクラブ推薦映画



 レイチェル・カーソンが「センス・オブ・ワンダー」で自然界の様々なオドロキを感じる心を大切に使用とメッセージを贈った。

 「さなぎ〜学校に行きたくない〜」は三浦洋子監督の愛ちゃんへの<愛の賛歌>だ。

 伊那谷の自然は美しい。春は桜が咲き、夏は天竜川ではじめはおっかなびっくりの川遊び、夏の終わりはセミガラを集めて大事にしている。愛ちゃんは廃車バスの屋根に上がって拳年が一つ上の仲良しの美保も結美も、なにやらダンスに興じる。愛犬といっしょにローラースケートで散歩と、すべてが冒険遊びで楽しさいっぱい。こんな日常生活の日々、何が不満で学校へ行くのがイヤなんだろう。

 きっと誰の親でも悩むだろう。昨今、<子どもと向き合う> ことの大切を声高に言われる。ますます悩む。本当にそうだろうか。

 面白いシーンがニ、三ある。学校からノートに印刷された「良い子」の上に、よくわからないものを背負っている愛ちゃんは「わるい子」と書き加える。なかなか意味深だ。

 これがあまりに鋳型にはめようとする学校教育のあり方に一石を投じた。母親も悩み抜いた末に「勉強の押しつけは捨てる」と、小学生前半を振り返っている顔が清々しい。

 祖父の古希をお祝い(ほかい)する日、薄くなった髪にたくさん髪留めをつけて喜ぶ愛ちゃんに「オモチャになったな」と苦笑い。

 十年後、素敵な成長ぶりを見せる愛さんが、セミガラで子ども服をデザインする空間デザイナーという<青い鳥>をつかんだ。サンテグジュペリが「愛するとは、けっしてたがいに見つめ合うことではなく、いっしょに同じ方向を見ることだ」と綴った「人間の土地」のコトバと伊那谷を思い出させる秀作だ。



 四方 繁利


さなぎ〜学校に行きたくない〜公式サイト



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