日本映画ペンクラブメンバーズチョイス


 中国の美人女優で名高いヴィッキー・チャオの監督デビュー作である。
 映画のタイトルそのままに、若者たちの青春の愛と哀しみと喜びの日々が鮮やかに描き出される。
 時代は1990年代。天安門事件の衝撃を引きずったままのこの頃の若者たちは、実は社会の厳しい現実に晒されていた。
 それゆえにこそ、キャンパスは活気に満ち、騒がしく、彼らの夢や希望が爆発するのである。
 ウェイとシアオチョンの幸せな学生生活は、やがて訪れた卒業の季節をもって終わりを迎える。
 貧しい母子家庭に育ったシアオチョンに選択の余地はなく、約束された将来に向けて彼はアメリカへと去っていった。
 数年を経て恋人たちは再会する。二人はどうするか。
 青春時代はやはり“あとからしみじみ思うもの”なのか。
 香港の女性監督、メイベル・チャンの「玻璃の城」(98)が甦ってくる。
 70年代の香港で、甘く楽しい学生時代を送っていたラファエルとヴィヴィアンのカップルは、学生運動の波にのみこまれ、デモの主導者とみなされたラファエルは、フランスへと旅立って行く。
 離れ離れになった恋人たちは20年後に再会。
 共に家庭をもちながら、二人は一緒に暮らし始める。
 そして香港がイギリスから中国に返還される前年96年の大晦日、ロンドンで待ち合わせた二人は交通事故で死んでしまう。
 ここから物語の主人公は、ラファエルの息子とヴィヴィアンの娘へと移る。
 遺体を引き取りにきたそれぞれの子どもに、父と母は同じ中国名をつけていた。
 “康橋”(ケンブリッジ)と------。
 テーマ曲の「トライ・トゥ・リメンバー」を聴くたびに、私は今も涙を流す。
 「So Young」のエンディングに流れた「To Youth」もそれは美しかった。
 メイベル・チャンは「宋家の三姉妹」(97)ですでに大成功を収めている。
 ラブストーリーがどちらかといえば苦手の私にも、「玻璃の城」はよい映画だった。
 そしてこれに匹敵する中国の青春映画「So Young」が生まれたのだ。
 ヴィッキー・チャオ監督の第1作に乾杯しよう。
 故謝晋監督の大切な女優パン・ホンが、シアオチョンの母親役で友情出演していることも書き添える。

                            大竹 洋子




 このところ、何かとキナ臭いウワサが絶えない中国から、とびきり良質な青春映画の傑作がやってきた。

 90年代の中国。新入生歓迎に沸く全寮制の大学キャンパスが舞台。女子寮のルーム・メイトになった4人の女子大生を中心に描かれた青春群像だ。

 憧れの先輩を追って入学した、ちょっと宮崎あおいに似た雰囲気のチョン・ウェイ。男子学生注目の的、美貌のルアン。そして、情報通で玉の輿を狙うリー、ボーイッシュなチュー。

 4人のコラボレーションも面白いが、先輩に失恋したウェイが新しい恋人を見つけ、学内ベストカップルになる件りや、愛に誠実で芯のしっかりしたルアンのエピソードなどがうまくまとめられている。

 とにかく脚本がよく練られている。美人のルアンに度々届くカスミ草の花束。脇役、ひき立て役などの意味を持つこの花の送り主が、ラストで片想いの気弱な男子と判るシーンなどは秀逸。卒業後の追いかけも、過不足なく描かれていて感心する。

 90年代の初め、新・旧の価値観が混在する時代の中の青春像を見事にとらえたのは、日本でも人気の高い女優のヴィッキー・チャオ。これが初監督作品とは思えないほどの、完成度の高い作品となっている。

                            平山 允

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