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第二次大戦末期に、沖縄の住民が戦闘に巻き込まれた。大勢が亡くなったこと、ひめゆり部隊として女学生たちが後方支援に駆り出されたことは知っていた。
でも、まだ10代半ばの男子を中心に編成された少年ゲリラ部隊「護郷隊」については知らなかった。
年端もいかない少年が、どのように兵士として利用されていったのか。
映画「沖縄スパイ戦史」は沖縄の裏の戦争を扱った問題作だった。

戦車に特攻する爆破隊として、時には幼い見た目を活かした偵察隊として、少年たちは捨て石のように戦った。
驚くのは、この「護郷隊」を召集・組織したのが、スパイ養成機関として知られる陸軍中野学校のエリート青年将校たちだったこと。
彼らは秘密作戦のため、時には軍服以外も着用したそうだ。
長髪に日本刀を刺した若き将校たちの姿は、やんばるの少年の目に眩しかっただろう。
陸軍中野学校といえば、私は市川雷蔵主演の「陸軍中野学校」や、最近だと「ジョーカー・ゲーム」の元ネタくらいのイメージしかなかった。
けれど、軍隊経験のない少年たちを手っ取り早く兵士に育てるのに、精神面を懐柔していった事実は衝撃だった。

地獄を生き残った元少年兵が、死んだ戦友を想って植えた沖縄で一番寒い季節に咲くカンヒザクラ。
どうしようもなく胸を締め付けられるシーンだ。濃いピンク色の花びらが、燦々と太陽の光を浴びた少年たちの笑顔のように輝いていた。


「沖縄スパイ戦史」
7/21(土)より沖縄・桜坂劇場、
7/28(土)より東京・ポレポレ東中野ほか全国順次公開

映画ライター 上村友子(日本映画ペンクラブ会員)

沖縄スパイ戦史 公式サイト

掲載日 2018.7.24

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