日本映画ペンクラブメンバーズチョイス



 不覚にも知らなかった。こんなにすごい人物がいたなんて。70年代、TBSラジオの深夜放送「パック・イン・ミュージック」で、アリス・クーパーやアン・マレイほか、ここで紹介されるアーティストのレコードはいうに及ばず、毎週毎週これでもかこれでもかと、洋楽をかけていたにもかかわらず、アーティストのマネージャーの事など考えも及ばなかった。この映画の主人公、シェップ・ゴードンのことだ。

 偶然チェック・インしたハリウッドのホテルで、ジャニス・ジョプリンに殴られ、彼女に紹介されたジミ・ヘンドリックスに「ユダヤ人ならマネージャーになれ」といわれて、当時無名だったアリス・クーパーをマネージ、大成功させる。以来、自分の事は二の次に、ときにはノー・ギャラで、引き受けた人をどうすれば売り出せるかを真剣に考えて、破天荒な宣伝を繰り広げた。映画製作にも進出し「蜘蛛女のキス」や「八月の鯨」など、40本以上を送り出す。その間、いろいろな人物と親しくなり、シェフの収入が安いことを知った彼は、テレビ番組を利用して、スーパー・シェフとして世界に送り出したのだ。

 とにかくおしゃべりなシェップの話は、すべてが芸能界の裏話で非常に興味深く、たまに口が滑って、ほらを吹いてしまうこともあるが、それを映画の画面で訂正されるのも面白い。ミュージシャンだけでなく、マイケル・ダグラス、アーノルド・シュワルツェネッガー、シャロン・ストーンといったハリウッドのスターからダライ・ラマまでいろいろな人物が登場。60年代から70年代にかけて、芸能界がセックス、ドラッグ、そしてアルコールの世界だった、何でもありの時代を彷彿とさせ、懐かしい。

 アメリカン・ポップスが好きな人はいうまでもなく、サブ・カルチャーに少しでも興味がある人には超おすすめ、絶対に見逃せない一本だ。

 ちなみメンチとはヘブライ語で「偉大な人物」という意味で、作品のタイトル「スーパーメンチ」は「超偉人」ということになる。特大メンチカツの事ではない。

宮内鎮雄

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