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祝福〜オラとニコデムの家〜」

 ドキュメンタリーでありながら、まるでドラマのように物語が進む。

 解説もナレーションもなく、いきなりズボンのベルトがなかなか上手にしめられない少年が映る。彼には障害があるのだ。少年の名前はニコデム。

 その少年の世話を焼くのが姉のオラ。彼女はまだ十四歳だが、家事を一所懸命にこなしている。

 ポーランドにある小さなアパート。父親はアルコール依存症気味で、ときどき福祉関係の役人が酒を飲んでいないか調べに来る。母親は別居して別の男性と暮らし、そっちには赤ん坊もいる。

 オラの当面の問題は弟の初聖体式。一家はカトリックで学校もカトリック。先生が子供たちに信仰について教える場面もある。

 晴れの儀式には別れている母親も参列するのだ。その日は家族がまたいっしょになれる。が、母親は打ち合わせに来ないし、ニコデムは儀式の前に司祭から受ける問答の答をなかなか覚えようとしない。オラはやきもきする。

 といった一家の日常がオラを中心にカメラにとらえられている。まるでドラマのように思えたのは、オラもニコデムも父も母も、学校の先生も、だれもカメラを意識せずに自然であること。そして、オラが女優のような美少女で毅然としていること。

 小さなアパートの一室で、至近距離で回っているカメラをまったく気にしないで、しっかり者のオラが弟を叱ったり、だらしない父親と言い争ったり、家事に疲れてぼんやりテレビを見ていたり。

 特殊な事件や奇抜な人物を題材にしているわけでもなく、音楽やナレーションや凝った構成がなされているわけでもない。それでいて、全然退屈しない。かなりユニークなホームドラマ風ドキュメンタリーである。

飯島一次


祝福〜オラとニコデムの家〜 公式サイト



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