いちばん大事なことは、教科書に載っていない
ある朝、教室で担任の先生が死んだ。
代わりの先生は、知らない国から来た、ちょっと変わった人だった。
子供たち、そして大人たちのために、悲しみを乗り越える授業が始まる・・・
主人公が教師の物語は昔から多く愛されてきた。
ちょっと切なくて優しい教師の物語がまたひとつ誕生した。
教師の物語は漱石の『坊ちゃん』から続く“熱血もの”と『二十四の瞳』のような“情緒もの”の二つの系譜がある。
『金八先生』はその二つの流れを合わせ持つ理想教師の典型だが、さて「ぼくたちのムッシュ・ラザール」の主人公も教師であるが決して理想的な教師ではない。
カナダモントリオールのアルジェリア移民のさえない中年男性教師でそのうえ『代用教員』である。
この『代用教員』という言葉に筆者は何故か胸がキュンとなってしまう。
このムッシュ・ラザールは子供たちに対してけっして上から目線でなく独善的でなく教条的でなく利己的でなく、傷ついた子供たちにただ“寄り添ってくれる”この人物どこかにいたような人物だ。と気が付いた。
そうそれは宮澤賢治の『雨にも負けず』の主人公である。
物語も導入部の子供たちの担任女教師の自殺のエピソードだけがショッキングなだけでその後は実に淡々と展開する 静かな映画である。
こんな教師に憧れる高校時代数学教師志望だった・・・
柳澤和三
ぼくたちのムッシュ・ラザール公式サイト
・夏、全国順次公開