【ゲンスブールと女たち】



5月21日(土)、Bunkamuraル・シネマ、新宿バルト9他にて全国ロードショー


 ネコも杓子も健康志向の今とは大違い。あの頃は、喫茶店やレストラン、仕事場は言うに及ばず、飛行機だって煙草が吸えた。イギリスではバスや地下鉄、映画館でも喫煙OKなんて、今思えば、何と不健康だったのだろう。酒だってみんなよく飲んでいた。

 アルコール、タバコ、セックス、そしてドラッグ。スキャンダラスなシャンソン歌手で作曲家、俳優のセルジュ・ゲンスブールは、ありとあらゆる快楽を追求し、人生を謳歌した。しかし、ユダヤ人の彼は自らの容姿にコンプレックスを抱いていたのだ。彼がそんな行動に走ったのはその反動だったのかも知れない。そんな自由奔放な彼に惹かれるように、彼のもとにはそうそうたる女性が集まり、モテモテ。この映画では、オマせな少年時代から音楽の世界に入り、セレブになったあげく、反国家的な行動に出るまで、波瀾万丈な彼の生き様が描かれている。

 僕の心の奥底に潜むあこがれのパリのイメージは、「現金に手を出すな」や「危険な曲り角」、「いとこ同士」といった懐かしのフランス映画で形成されてきたのだが、その印象を新たにしてくれるのがこの作品で、これほど僕のパリのイメージが詰まった映画もない。また、主役のゲンスブールは勿論のこと、次々と登場する女たち、フランス・ギャルもジェーン・バーキンもブリジット・バルドーも誰も彼も本人にそっくり。衣装や声までもだ。そんなシーンを見るとわくわくしてしまう。

 フランスの文化に少しでも興味がある人は必見。僕は大好きだ。

 宮内鎮雄(日本映画ペンクラブ会員)

ゲンスブールと女たち公式サイト

 

2011年05月26日