【沈黙の春を生きて】



 50年前、アメリカの作家レイチェル・カーソンは、その著作「沈黙の春」で“化学物質は放射能と同じ様に不吉な物質で世界のあり方、そして生命そのものを変えてしまいます。 今のうちに化学薬品を規制しなければ大きな災害を引き起こすことになります。”と警告しました。

 坂田雅子監督は、前作『花はどこへいった』から引き続きベトナム・アメリカ・・・未だ癒えぬ枯葉剤の傷痕を取材・告発し続けていくドキュメンタリー。 ベトナムの枯葉剤被害者の思わず目を背けたくなる過酷な現実のなかで、アメリカのベトナム帰還兵の娘、片足と指を欠損して生まれたヘザー・A・モリス・バウザーは、同様なベトナム帰還兵の障害をもつ人々と連帯運動を展開、本作の撮影を通し、アメリカ人枯葉剤被害者として初めてベトナムを訪れ、 現地の被害者たちと交流を通し両国の枯葉剤被害者の実態を啓蒙すべく現在活動中である。

  しかし悲惨な境遇の中彼女の眼と生き方のなんとチャーミングなことか・・・

  3・11後の日本の現状を見るとき、 この映画の訴えてくるものがまさしく現実であろう。

 柳澤和三

沈黙の春を生きて公式サイト
 9月24日封切り

 

2011年08月16日