●日本映画ペンクラブ賞
・河原畑 寧氏
1934年熊本県出身。東京大学法学部卒業後、読売新聞社に入社。1969年から映画批評を担当。以来、日本の映画界の流れや海外の映画製作状況を取材、多くの映画人へのインタビューを通して、世界の映画そのものの変化や成長を反映させるなど、広い視野に立って読者を刺激、啓発する批評を執筆してきた。新聞社を退職後は日本映画ペンクラブの会員になり、著書「映画への旅」、訳書「ビリー・ワイルダー・イン・ハリウッド」「オーソン・ウェルズを語る」などを執筆、出版。1989年からは代表幹事として会の運営に尽力した。
●奨励賞
・宮崎 祐治氏
40年間にわたる映画イラスト活動に対して。1955年生まれ。武蔵野美術大学在学中から、映画のイラストを「キネマ旬報」などに投稿し、評判を呼ぶ。卒業後もTVCMの演出、「世界の車窓から」などのディレクターとして活躍するかたわら、旧・文芸座のポスター、映画本のイラスト、装丁など精力的に活動を続け、独自の世界を築きあげた。1977年「キネマ旬報・決算特別号」に掲載の「映画街路図」は、以後定番となり今年40年目を迎えた。2014年に開館した広島サロンシネマには、ロビーの天井一面に氏の映画イラストが飾られている。またライフワークとして「キネマ旬報」誌に5年にわたって連載した「東京映画地図」は、映画に登場する<東京>がどこで撮影されたものかを丹念に調査して地図化した労作。今年、キネマ旬報社から出版され、高く評価された。映画への愛を核にした40年にわたる氏の映画イラスト活動に対し、日本映画ペンクラブ奨励賞に推薦する。
●功労賞
・藤原 智子氏
長年にわたるドキュメンタリー作品製作に対して。1932年生まれ。ドキュメンタリー映画作家として1950年代末から活動を開始。近年は歴史的な女性偉人たちの伝記的ドキュメンタリーを手掛け、女性映画人ならではの仕事を行っている。昨年国立博物館で開催された「鳥獣戯画」展では、その実物を撮影し、ベルガモ映画祭グランプリを獲得した「鳥獣戯画」の製作を担当。実物の撮影を勝ち取った功労者。2000年の「夢は時を越えてー津田梅子が紡いだ絆ー」はキネマ旬報文化映画部門第一位に輝く。2004年の「ベアテの贈りもの」は芸術選奨文部大臣賞を受賞。