◆ 2022年度日本映画ペンクラブ賞授賞式  野島孝一



 2022年度日本映画ペンクラブ賞、会員選出ベストワン映画の表彰式が、2023年3月15日午後6時から東京・東銀座のコートヤード・マリオット東銀座で行われた。
コロナ禍のため3年連続で会食懇親会は行わなかった。

 司会は文化放送の記者でプロデューサーの鈴木敏夫会員が担当。
死去した河原畑寧会員らに哀悼の念を表した。
会場には河原畑会員の遺影も飾られた。
はじめに渡辺祥子代表幹事が「日本映画ペンクラブは、職業団体であり、映画大好き人間の集まりです。
この賞を、映画を愛する方たちに差し上げることができて、うれしいです」とあいさつした。

 本年度の日本映画ペンクラブ賞は、昨年7月29日、惜しまれながら閉館した岩波ホールの支配人、岩波律子さんとスタッフに送られた。
渡辺代表幹事から会員でもある岩波律子さんに表彰盾が贈られ、松崎健夫会員から花束が贈呈された。
受賞理由は「ミニシアターの草分けでもあり、独自の文化発信の場として機能し、映画への敬愛の場として機能して多くの映画ファンに愛された。
岩波律子さんはこの映画館の3代目支配人として、スタッフとともに長年その歴史と精神を継承し、身を粉にして奮闘してきた」というもの。
岩波さんは1968年の開館からの歴史を振り返り、「岩波ホールは神保町の古書店街という特殊な場所にあり、10階建てビルの一番上にありました。
劇場から外を見ることができ、観客と交流する特別な瞬間がありました。長くもあり短くもあった歳月、いろいろな映画で学べる人生の学校でした」と述べた。
岩波さんの後ろには、大竹洋子会員らスタッフが並び、感慨深い面持ちだった。

 日本映画ペンクラブ功労賞には、「トリュフォーの映画誌」など数多くの著書がある映画評論家の山田宏一さんに贈られた。
山田さんは高齢で体調が悪いために欠席された。

 さらに功労賞が世界で活躍してこられた映画プロデューサーの吉崎道代さんに贈られたが、吉崎さんはロンドン在住で欠席された。
代わりに吉崎さんの著書「嵐を呼ぶ女」を出版したキネマ旬報の青木眞弥編集長とヘラルド時代に吉崎さんとともに働いたアークエンタテイメントの坂上直行さんが代わってお礼を述べた。
「嵐を呼ぶ女」は昨年7月に出版され、好評刊行中。

 会員が投票で選んだベストワンの表彰に移った。
日本映画ベストワンは倍賞千恵子が主演した近未来映画「PLAN75」で、早川千絵監督に表彰盾と花束が贈られた。
早川監督は「永遠の映画少年、少女たちの日本映画ペンクラブから、このような賞をいただけてうれしい。
撮り続けられるよう頑張ります」と述べた。
外国映画ベストワン賞はトム・クルーズ主演で大ヒットした「トップガン マーヴェリック」のジョセフ・コジンスキー監督(代理)に贈られ、文化映画ベストワンは「教育と愛国」の斉加尚代監督に贈られた。

  野島 孝一

2023年03月15日