南イタリアのバーリで、3月22日、23日の2日間に渡って開かれたFIPRESCI(国際映画批評家連盟)の年次総会に、昨年に引き続き日本映画ペンクラブを代表して参加してまいりましたので、以下にご報告いたします。
今回は、1)挨拶、新しいHPの運営会社Mingus-Designの紹介、2)FIPRESCI 90周年、3)2014年度の活動報告と2015年度の審査員の派遣、4)会計報告、5)ウェブサイトについて、6)今後の連盟の6項目ついて、各国代表30名と委員会、事務局の担当8名の計38名で話し合いが行われました。
1)開会に先立ち、連盟のHPのデザインを無料で刷新、運営しているトルコのウェブ会社Mingus-Designのベルク・オズラー代表が紹介され、お話をうかがいました。
2)本年は国際映画批評家連盟創立90周年にあたり、そのための記念行事の準備について、クラウス・エダー事務局長から報告がありました。
記念行事は、毎年総会のホストを務めるバーリ映画祭のエットレ・スコーラ会長とフェリーチェ・ラウダディオ芸術監督への感謝を込めて、連盟のメンバーが司会を務めるマスタークラスを映画祭期間中連日開催、選ばれた監督の作品上映と、FIPRESCI90プラチナ・アワードを授与する式典を行うというものです。最終的に選ばれた監督はアラン・パーカー、ジャン=ジャック・アノー、コスタ=ガヴラス、エットレ・スコーラ、アンジェイ・ワイダ、エドガー・ライツ、マルガレーテ・フォン・トロッタ、ナンニ・モレッティという錚々たる顔ぶれでした。
決定にいたるまで、アリン・タシヤン会長とクラウス・エダー事務局長との間で何度もスカイプ会議を重ねながら、様々な映画監督と交渉を進めてきたそうで、大変な苦労があったそうです。二人は素晴らしい返事をくださったアンジェイ・ワイダ監督に特に感謝していました。
3)映画祭への審査員の派遣について。昨年から90周年記念行事の準備のため、審査員募集のお知らせの発送が遅れ気味になり、応募の締め切りまで余裕がなくなったことが挙げられました。また締め切り日がバラバラなので、できるだけ統一する方向で考えたいとのこと。問題点としては、カンヌ映画祭のサブセクションに応募する若い審査員が少ないこと、各国の代表組織(日本は日本映画ペンクラブ)を通さず、直接事務局に申し込む人がいることが挙げられました。
4)会計報告。コンピュータ2台がダウンしたため、例年より多く事務経費がかかったとのこと。会費の支払いが滞っている国としてポルトガル、エジプト、アルゼンチン、スロベニアなどの名が挙げられました。中には国が分裂したり、組織が分裂したりして、支払いが止まったままになっているところもあるようです。3年支払わないと活動停止の措置をとるとのことです。
5)ウェブサイトについて。担当のゲオルギー・カルパティ副会長が、紙面の刷新にともない、連盟創設から現在にいたるまでのアーカイブを作っています。彼は自分の学生からボランティアをつのり、現在まで800映画祭、1000本以上の受賞作をカバー。この数は日々更新されているとのことでした。ちなみに、映画祭のFIPRESCI審査員になると、ウェブサイト用に映画祭のレポートを提出する義務がありますが、その際にレポートの英語を校閲する責任者がカルパティ副会長です。
6)今後の連盟について。クラウス・エダー事務局長の勇退を視野に入れて、各国から彼の代わりとなる優秀な人材を候補として出し、仕事を引き継いでいくとのこと。これは数年前に議題にあげられたとのことでした。連盟の運営は長年エダー事務局長の精力的な活動によって成り立ってきた感があります。これから連盟がどういう方向へ動いていくのか、引き続き見守っていく必要があると感じました。
最後に、アリン・タシヤン会長から、はるばる日本から総会に代表者を派遣したことについて、日本映画ペンクラブにお礼の言葉をいただいたことを申し添えておきます。
FIPRESCI担当 齋藤敦子