「夢は牛のお医者さん」
「夢は牛のお医者さん」というドキュメンタリー映画を観て、本当に感動した。
ちょっとオーバーだが、ドキュメンタリーでこれだけ感動させられたのは、初めてではないかと思えるほどだ。
新潟のテレビ局が26年にわたり取材したある少女の記録だ。テレビ番組として何回か放映された映像が編集されている。
新潟県の山間にある小さな小学校。
1987年に子牛が3頭"入学”してきた。当時3年生だった女の子らが子牛に名前をつけて飼いはじめた。
そして牛との別れの日が来た。
涙を流しながら歌って別れを告げる子供たち。
思わずもらい泣きをしてしまった。
学校で飼っていた牛が病気がちだったのがきっかけで、女の子は獣医になる決意をする。
その決意が決して変わらず、意志を貫くところがすごい。
高校は下宿にテレビを置かずに猛勉強。
家に経済的余裕がないので国立の岩手大学に1回きりの勝負。
見事に合格して勉学に励み、獣医の国家試験にも合格。
現在は郷里に近い職場で家畜の面倒をみる仕事をしている。
結婚して子供二人を育てながら車で雪道を走り回る多忙な獣医さん。
夢に向かってがんばるその姿が尊い。
牛などの大きな家畜に力負けせずに立ち向かう女性らしからぬ体力勝負の闘志。
働くこととは、このようなことを指すのだと、何度もうなずかされた。
時田美昭監督。
ナレーターはAKB48の横山由依が担当している。
この作品が大勢の観客に愛されることを願いたい。
野島孝一
3月29日から東京・ポレポレ東中野と新潟県の3館で公開。
夢は牛のお医者さん 公式サイト